番組「ダウン症で、幸せでした。」が栄光の1位
2025年7月2日に行われた日本民間放送連盟賞・ラジオ近畿地区審査会において、ABCラジオが制作した教養番組「ダウン症で、幸せでした。~10年追いかけて分かった幸福の秘密」が見事、教養番組部門で1位を獲得しました。この快挙により、同番組は近畿地区を代表して中央審査へ進むこととなります。
番組の背景と目的
この番組は、2014年に放送された「ダウン症は不幸ですか」という作品の続編として位置づけられています。前作では、ダウン症のある子どもを持つ家族や専門家の視点から、社会の偏見や認識について掘り下げました。そして約10年後の現在、家族や社会はどのように変わってきたのかを再探求する内容となっています。
番組内容と出演者
「ダウン症で、幸せでした。」は、ダウン症という診断を受けた胎児の多くが中絶される現実に向き合い、当事者やその家族の「今」を描きながら、社会の変化や「幸せ」の意味を再考することを目指しています。主な出演者には、日本ダウン症協会の代表理事である玉井浩氏や、書籍『ダウン症で、幸せでした。』の著者・姫路まさのり氏が名を連ねています。
また、当時2歳だった佑哉君の成長を語る松原家、リサイクルショップで働く喜井晶子さん、そしてダウン症の長女を亡くした後に同じ症状の男の子を養子に迎えた梶原家など、3つの家族のストーリーが交錯します。彼らの生きる力や希望あふれる言葉が、聴取者に感動を与えます。
社会のリアルを問う
検査技術の進化に伴い、「命の選別」が現実のものとなっている現代社会において、当番組は「生まれてこなければよかった命なのか」という重い問いを投げかけます。しかしながら、ダウン症のある子どもがどのように家族に喜びや学びをもたらすのか、また彼ら自身が持つ希望のメッセージも同時に伝えられています。
最後には、登場した全ての家族が「ダウン症で、幸せでした」という言葉を残し、この番組が何を目指しているのかを明確にしました。この一言は、単なるフレーズにとどまらず、あるべき社会の姿を象徴する力強いメッセージとして響きます。
日本民間放送連盟賞について
日本民間放送連盟賞は、放送の質の向上を目的として1953年に設立された権威ある賞です。質の高い番組制作を促進し、放送を通じた社会貢献活動の発展も図られています。このような背景の中、ABCラジオの番組が1位に選ばれたことは、放送界における大きな出来事と言えるでしょう。
社会のあり方を問う重要なテーマを扱った本番組が今後さらに多くの支持を得ることを期待しています。