TUFS Cinemaアラブ映画特集の開催
東京外国語大学が主催するアラブ映画特集が2025年7月に開催されます。この特集では、アラブ地域の重要なテーマとして「運動と紛争の記憶」に焦点を当てた2本のドキュメンタリー映画が上映されます。特に、フェミニズムの歴史や内戦の影響を見つめることで、観客に深い気づきをもたらすことを目的としています。
第1回上映:『フェミニスト・インシャッラー』
第1回の上映は7月14日に行われ、作品『フェミニスト・インシャッラー:アラブ・フェミニズムの歴史を語る』が上映されます。この映画は、20世紀初頭から現代まで、アラブ地域でのフェミニズム運動の展開を描いたもので、エジプト、モロッコ、アルジェリア、チュニジアといった国々を舞台にしています。特に、女性の解放がナショナリズムや植民地主義からどのような影響を受けてきたのか、また、各地で何が求められてきたのかを通じて、アラブ・フェミニズムの歴史的背景を深く掘り下げています。
上映時間は52分で、終了後には東京外国語大学の後藤絵美准教授が解説を行い、パネルディスカッションではエジプト・カイロ大学のカラム・アッバース講師や、亜細亜大学の岡崎弘樹准教授などが参加します。参加は無料で、事前登録が必要となりますので、ぜひお早めにお申し込みください。
第2回上映:『土地と海』
続いて、7月19日には『土地と海』が上映されます。この映画は、レバノン内戦から50年を迎える今なお続く家族の苦悩を描いています。内戦によって行方不明となった人々や、その遺族の感情に焦点を当て、記憶の重要性を問いかけます。監督のダニエル・ルーゴは、証言者の顔を映さずに声と風景だけで構成する映像スタイルを用い、この作品を通じて内戦の暴力に伴う影響を静かに、しかし力強く表現しています。
ナレーターには作家の故イリヤース・フーリーが参加し、彼の言葉が映画の深いメッセージを伝えています。上映後には、神戸大学の岡部友樹助教や専修大学の児玉恵美氏が登壇し、監督や作品に関するトークイベントが開かれます。
まとめ
このように、TUFS Cinemaで開催されるアラブ映画特集は、ただの映画上映にとどまらず、アラブ地域の社会や歴史に関する理解を深める貴重な機会を提供します。それぞれの映画が取り扱うテーマは、現代日本のフェミニズム運動とも共鳴する部分があり、視覚と聴覚を通じて新たな考察を促すことは間違いありません。
学問的にも文化的にも豊かな経験が集うこれらのイベントに、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいと思います。